アップルウォッチの心電図機能は診療の役に立つ?

  • 2024.11.22

こんにちは、看護師の堀井です。iphone16が発売され、話題になりました。同時にアップルウォッチも新しいシリーズが発売され購入を検討されている方もいるかと思います。

アップルウォッチには心電図がとれる機能がついている機種もあり、わたしたちも患者様からアップルウォッチの心電図機能について質問をいただくことも少なくありません。

今回はアップルウォッチの心電図アプリはどんな機能なのかについて、循環器の看護師目線からお話をしていきます。


心電図がとれるアップルウォッチの種類

心電図をとれる機能はすべてのアップルウォッチに備わっているわけではありません。

心電図は、Apple Watch Series 4 以降およびすべての Apple Watch Ultra モデルでとることができます。

Apple Watch SEではとることができません。

その他の機能として、「高心拍数・低心拍数」や「不規則なリズム」の検知した時に通知がとどく機能がありますが、これはあくまで一時的に測定した際に感知したものですので常時監視しているわけではありません。

アップルウォッチと健診の心電図、どうちがう?

アップルウォッチの心電図アプリでは、第一誘導心電図に類似した心電図を作成できます。

健康診断や病院で行う心電図検査は「十二誘導心電図」といい、心臓の動きを12方向から捉えている心電図です。ですから、アップルウォッチの心電図よりも心臓全体の電気活動を細かく把握できます。

アップルウォッチ心電図は健康診断と比べて取得できる情報が少なく、確認できる心臓の電気活動の範囲が限られますが、装着している日常の中でいつでも記録できるため異常をリアルタイムで検知できるという利点があります。


アップルウォッチの心電図が特に有効な症状がある!

・アップルウォッチ心電図が得意なのは「心拍のはやさ・リズム」の異常

心電図を見る時、わたしたちは大体 ①心拍のはやさ ②リズム ③波形のかたち を組み合わせてみています。

波形のかたちに関しては多方向からみた波形のデータがあることでより詳細に病気の予測をつけることができますが、心拍のはやさ・リズムは波形が1種類しかなくても読めることが多いです。

ですから、アップルウォッチの心電図がキャッチすることが得意なのは心拍のはやさ・リズムの異常です。

・「心拍のはやさの異常」とはどんな症状?

症状としては脈や心臓の鼓動をはやく、または遅く感じる・眩暈やふらつき・胸の不快感を伴うなどで、ひどい時には血圧低下・失神することもあります。

心拍がはやい不整脈には洞性頻脈・発作性上室性頻拍・心房細動・心房粗動などがあります。

心拍が遅い不整脈には洞性徐脈・洞停止・洞房ブロック・房室ブロックなどがあります。

・「心拍のリズムの異常」とはどんな症状?

症状としては動悸・胸の不快感・眩暈やふらつき・脱力感や倦怠感・息切れを感じることがあります。また、ご自身で脈に触れてみるとリズムが不規則・途切れているといったことがあります。

動悸も「ドクンッと強く打つ」や「心拍が大げさに感じる」など人によって感じ方も様々です。

心拍のリズムが不規則になる不整脈には上室性・心室性期外収縮が多いですが、たまに心房粗動や心房細動などの治療を要する不整脈が含まれてきます。

・アップルウォッチ心電図で見つけづらい病気と症状

前述のとおりアップルウォッチ心電図は健診の心電図とちがい、見られる波形が1種類なので「波形のかたち」を確認するにはやや不向きです。全く確認できないわけではありませんが、アップルウォッチでは誘導の少なさに加えて健診や病院の心電図とは違い患者さんがご自身の両手で操作して得られる波形なためノイズや体の動きで波形がみえづらくなるというデメリットもあります。

波形の形で判別できる病気の代表的なものに心筋梗塞・狭心症があります。この病気は症状がある時と症状がない時で心電図の形が変わったり、1方向からは正常に見えてもほかの方向から見る心電図波形だと異常の場合もあり、アップルウォッチの心電図では捉えづらい疾患です。

症状は主に、胸の痛みや締め付けられるような圧迫感を感じます。階段昇降や坂道など負荷がかかるような動きをした時にだけ症状がでることもあります。そのほかにも、肩や歯の痛み、息切れ、発汗などを自覚する方もいます。


上記のような病気は自覚症状がある時の心電図が大切です。症状が出た時にすぐ病院へ来て心電図をとることができなくても、装着中であればいつでも心電図をとることができますね。

心電図アプリを使用するには最初に設定や少しコツも必要なので、使用方法を確認しておくことをおすすめします。

上記のような不整脈のなかには治療が不要なものもありますが、治療が必要なものには放置することで新たな疾患を併発させてしまう可能性があったり入院手術が必要になるものもあります。

その判断をするためにも、不整脈の種類はなんなのか、頻度はどうなのか、原因はなにか一度精密検査をする必要があります。

心電図アプリをお持ちの方はぜひご活用いただき、データを持参してください。

また、不明点がありましたら看護師へお声かけください。

監修:柴山 謙太郎

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