心臓の震えで血のよどみ 心房細動、脳卒中の原因にも

  • 2023.04.02

当院の柴山 謙太郎 院長が、日本経済新聞 全国版(2023年3月10日版)「心臓の震えで血のよどみ 心房細動、脳卒中の原因にも」の記事でコメンテーターとして掲載されました。

「NIKKEIプラス1 カラダづくり(2023/3/10)」から引用

この記事では、不整脈である心房細動の症状など基本的な内容に加え、診断に検脈やホルター心電図、携帯型心電図計、腕時計型端末の心電図測定機能などが重要なことが記載されています。

まず心房細動とは、心臓の心房が不規則に細かく震える病気のことで、脈が乱れたり速くなったりする不整脈です。そして、動悸(どうき)、息切れ、胸の痛みや不快感などの症状が表れることがあります。

患者数は100万人を超すとされており、高齢者に多い疾患ですが、30代や40代の若年層でもしばしば起こります。

初期では短期間、不定期に心房細動が発現する「発作性心房細動」という状態で発見されることが多いですが、徐々に頻度が高まり心房細動が持続しているようになると「持続性心房細動」となります。発作性、持続性にかかわらず、人によって症状が強く出て日常生活に支障を来す場合もあれば、ほとんど自覚しない無症候性もあります。

「心臓の病気」と聞くと死に直結する怖い病気をイメージしますが、心房細動が直接の原因となって死亡することはほとんどありません。ただし、心房細動があると「脳卒中(心原性脳塞栓症)」の発症リスクが高まるため、脳梗塞が発症して生活の質の低下や予後に影響することがあります。

心房が細かく震えると心房内の血液がよどんで血栓ができ、それが脳に運ばれ血管を詰まらせることが脳梗塞の原因です。必要に応じて血栓を作りにくくする薬(抗凝固薬)を服用して予防することが大切になります。

また、心房細動になると心臓のポンプ機能に負担がかかり心不全を起こすことがあります。心不全に対して内服薬による治療が必要となることもあります。

心房細動そのものの治療としては、心拍数を調節する薬や心房細動を予防する薬による薬物療法と、血管から細い管を心臓まで通して、心房細動の原因となる異常信号を出す部位を処置する「カテーテルアブレーション」があります。年齢や症状、状態などを考慮してその人に適した治療が選択されることになります。

加えて高血圧や糖尿病など生活習慣病の治療、禁煙、減酒・禁酒、肥満や睡眠不足の解消、適度な運動など生活習慣の是正も心房細動の発症や進展の予防には重要となります。

心房細動と気づかないまま進行し、脳卒中を起こした後に分かるケースがあることにも注意が必要です。症状のある時に行った心電図検査で心房細動の波形が見られれば診断の決め手となりますが、無症候性であればそもそも受診に至りません。そうした場合、健康診断での定期的な心電図検査が発見の重要な機会となりますので必ず受診したほうが良いでしょう。

自分で脈を測る『検脈』の習慣が受診のきっかけとなることもあります。検脈とは、手首に指を当てて自分で脈のリズムと脈拍数を確認するもので、当院の柴山医師は取材で検脈について、「通常は『トン、トン、トン』と一定間隔で脈が感じられるが、心房細動ではリズムが不規則になる。また、成人の脈拍数は1分間に60〜100回程度でそれを超えると頻脈と呼ばれるが、心房細動では150回/分くらいになる場合もある」と説明しています。

発作性心房細動では受診時に心電図で異常波形が計測されないことがほとんどですので、自覚症状が多い方については24時間継続して計測する「ホルター心電図検査」を行うことになります。

また、近年は、心電図計付き血圧計や携帯型心電図計、腕時計型端末の心電図測定機能など、自分で心電図が測定できる機器にも期待が寄せられております。柴山医師は自分で記録できる心電図端末について、発作が起こったタイミングで心電図や脈拍数を記録でき、診察時に自分で記録した心電図画像を医師に見せることで診療の助けとなることがあるとコメントしており、信頼できる専門的な医師の意見を参考にしたうえで病気や治療に対する十分な理解や納得を深める必要があることを指摘しています。

是非みなさまの健康管理に役立てて頂ければ幸いです。

記事については以下をご参照ください。https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUD234850T20C23A2000000/

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