歯医者さんへ行っていますか?①~お口と体の健康の意外な関係~

  • 2025.04.23

こんにちは、看護師の堀井です。

春になり健康診断のシーズンとなりましたが、みなさんは歯のチェックやクリーニングも定期的にされていますか?歯や歯肉の痛みを放置されてはいませんか?

無関係に思えますが、実はお口の状態と心臓・血管はとても深い関係にあります。

実は、心筋梗塞などの発作時に3~4割の患者さんが「顔面」の痛みを訴えており歯の痛みと心臓は無関係ではないといえます。

今回は歯周病によってリスクの上がる、心臓やその他の病気についてのおはなしです。


歯周病が引き起こす、からだの変化

歯周病の原因菌は身体の中に侵入しようと歯肉を攻撃し、身体は侵入を抑えようと菌を攻撃します。

これが歯周病のはじまりで、歯茎からの出血・赤くなる・腫れるなどの炎症の症状です。

歯肉の炎症は毒性物質や炎症性サイトカインという化学物質を発生させ、歯肉の血管から血液に入り、血流に乗って全身の血管に拡散されます。するとお口に関係のなさそうな場所でも、様々な病気を引き起こしたり悪化させる原因となります。

上記のような物質が血液の中にはいり、血管の内壁に炎症を起こすことで動脈硬化をすすめてしまいます。特に、CRPという炎症マーカーの上昇が、動脈硬化のリスクを高めることが知られています。歯周病菌が血管にはいり直接炎症を引き起こすこともあり、歯周ポケットが深いほど血液中に侵入する歯周病菌の量が増加するという報告もあります。

実際に動脈硬化を起こした血管の壁から、歯周病菌が検出されることもあるんです!

心臓の血管や脳の血管で動脈硬化をおこしていると、心筋梗塞・脳梗塞などの重篤な病気を引き起こす原因となります。歯周病の人はそうでない人の2.8倍、脳梗塞になりやすいと言われています。

すでに動脈硬化因子(血圧が高い・コレステロールが高いなど)のある方は特に歯周病の予防がとくに必要です。

炎症性の化学物質は、血糖値を下げるインスリンの働きを悪くさせます。

インスリンが効きづらいと血糖値は上がりやすくなり、糖尿病の進行をすすめてしまいます。さらに血糖値が高めだと、菌にとって住みやすい環境となり炎症はさらにすすみやすくなり悪循環となってしまいます。

また、炎症性物質は脂肪の代謝を阻害し脂肪が燃焼されにくくなるため、太りやすくなる可能性があります。近年、歯周病菌が腸内環境に影響を与え、肥満につながる可能性も指摘されています。

近年の研究では、歯周病菌や歯周病によって発生する炎症性物質が、認知機能の低下やアルツハイマー型認知症と関与していると考えられています。

その他にも歯周病は早産・低体重児出産肺炎関節リウマチ骨粗鬆症食道がん、すい臓がんなどとの関係が考えられています。


ここまでは歯周病による体への影響についておはなししてきましたが、実は「心臓が原因の、歯の痛み」もあるんです。

それは狭心症や心筋梗塞による放散痛・関連痛(ほうさんつう・かんれんつう)です。

放散痛とは、痛みの原因がある場所とは違う場所に感じる痛みのことです。

例えば、電線が途中で枝分かれしていると本来電気を送りたい場所とは違う枝の方にも、少し電気が流れてしまうことがあります。

奥歯に行く神経と心臓の神経は分布が同じため、心臓で感じる痛みで奥歯が痛むことがあるんです。

奥歯の他にも、心臓が原因で顎や肩・腕に痛みを感じることもありそれらも「放散痛」とよびます。

狭心症や心筋梗塞などの「虚血性心疾患」の発作時患者の38%に顔面の痛み、4%に歯痛が報告されています。多くの場合、胸の痛みと顔面・歯の痛みが同時に感じますが、胸の痛みがなく歯痛のみが症状として現れることもあります。

定期的に歯科通院する習慣があれば、そのような痛みを放置することも減りそうですね。

とくに、下記のような歯の痛みは心臓と関係していることが多く要注意ですので歯医者への受診と共に循環器専門医への受診もおすすめします。


お口の健康状態と体の健康はつながっています。歯周病の予防・治療を行うことで、全身の様々な病気のリスクを下げることが可能です!

とくに糖尿病のある方は歯周病になるリスクが高く、逆に歯周病の治療をすることで糖尿病の数値も改善することがあります。

今回紹介した以外にも、歯周病や虫歯を放置することで起こる心臓な重篤な病気(感染性心内膜炎)というものもありますので、今後ブログでそちらもご紹介していきますね。

ぜひ、日々の歯磨き・口腔ケアを見直し全身の健康につなげましょう!

監修:柴山 謙太郎

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