突然死の原因になることも!ヒートショック~冬の寒暖差にご注意を~

  • 2025.01.29

こんにちは、看護師の堀井です。新しい年がスタートし、あっという間に一ヵ月がたちました。旧年中は大変お世話になりました。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

寒い日が続き、外と室内での温度差が大きい季節です。その温度差は「ヒートショック」と呼ばれる健康不安を引き起こす原因になることもあります。特にご高齢の方や持病のある方にとっては、思わぬ事態を実際に引き起こす危険性もあります。わたし自身も祖母をヒートショックで突然亡くしています。

今回はこの機会にヒートショックについて知り、注意しながらこの冬を楽しくすごしていただければと思います。


ヒートショックとは、気温や室温の大きな温度差によって血圧が上下に大きく変動し血管に大きな負担がかかることによって起こる健康被害のことです。

特に冬場、暖かいリビングから寒い浴室やトイレに移動する際に起こりやすく心筋梗塞、不整脈、脳梗塞を起こし最悪の場合は突然死を引き起こすことがあります。

これを、「ヒートショック」といいます。

令和3年人口動態調査(厚生労働省)によると、65歳以上の浴槽における不慮の溺死・溺水は5,097人、そのうち家・居住施設の浴槽では4,750人で、交通事故2,150人の2倍以上でした。

お風呂での心停止は事故による溺水だけでなく、病気(急性心筋梗塞や脳卒中など)が原因で起こることもあります。特に冬季は心停止の発生頻度が夏季の約10倍も高くなります。

しかし入浴が関係する死亡は「病気に起因する病死」とされるため、統計として実態把握は難しく明らかにされていません。また、浴室以外でもヒートショックは起こるため実際のヒートショック関連での死亡はさらに多いと考えられており推定年間1万7000人といわれています。


・ヒートショックを起こしやすい人

・ヒートショックの予兆

入浴や、室内と外気の寒暖差で下記のような症状のある方は注意が必要です。

循環器内科や脳神経内科など医療機関への受診をおすすめします。


1.浴室や脱衣所をあたためて、リビングとの温度差をへらす

脱衣所と浴室を暖房器具であたため、温度差をなくすことは効果的です。

浴槽にお湯を張る際にはシャワーで高い位置から給湯すると、浴室を暖めやすくなります。浴槽のふたを開けておくのもおすすめです。

2.入浴時間は午後2時~4時がベスト。夕食前もおすすめ

ひとの生命を維持する生理機能は午後2時から4時にかけてもっとも活発になるので気温差による血圧変動に適応しやすくなります。深夜などの極端な時間での入浴には注意しましょう。

3.食後1時間以内や、飲酒後は避ける。

人間の体は食事中に副交感神経が優位となるため、その影響で血管が拡張して血圧や脈拍が変動しやすくなります。また、飲酒でも血管拡張が生じたり利尿作用による水分減少などから、こちらも同様に血圧や脈拍が変動しやすくなります。直後の極端な寒暖差はヒートショックを招きやすくなると考えられます。

4.お湯の温度は38~41℃

42℃以上になると心臓に負担をかけます。

5.かけ湯をし、お湯は胸のあたりまで

6.同居の方がいる場合は、ひと言かけてから入りましょう


浴室やトイレでなくても、10度以上の温度差がある場所を行き来することでヒートショックを起こすことがあります。

暖かいリビングやお店の中からのほんの短時間の外出であっても、暖かい室内から寒い外に出るときは血圧が変動しやすく心臓や脳血管疾患をひきおこしやすくなります。気温差のある外出の際にはしっかり防寒をすることが大切です。特に首周りには太い血管が通っており、温度変化の影響を受けやすいため、タートルネックの服を着たりマフラーを巻いたりすることで対策することが効果的です。

65歳以上の方や生活習慣病がある方で、寒暖差での自覚症状がある時には早めに循環器専門医への受診をおすすめします。

インフルエンザも大流行しており、年末年始の疲れもあいまって体調を崩しやすい時期です。からだを冷やさないように温かくしてお過ごしください。

当院では、本年もかわらず皆さまの健康をサポートさせていただきます。

監修:柴山 謙太郎

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