自己検脈のやり方~ご自分の脈をはかったこと、ありますか?3月9日は脈の日です!~

  • 2025.03.06

こんにちは、看護師の堀井です。

3月9日は「脈の日」だそうです。みなさんは、ご自分の脈に触れてみたことはありますか?

気が付いた時に数秒間でも脈にふれてみる習慣は、調子が悪い日だけでなく日々の体調チェックに役立ったり、時にはだれかの助けになることもあるかもしれません。

コツをつかめば簡単です!一度挑戦してみましょう


基本的に利き手の人差し指と中指の2本(薬指を含めた3本でもいいです)で、反対側の手首の脈に触れます。

親指は、他人の脈をはかる際に自分の脈と混同しやすいため、使用しません。また、1分間の脈拍数を計算したい時には秒数がわかる時計(秒針つきなど)を準備しましょう。

1.片方の手のひらを上に向けます(利き腕と反対側がオススメです)

2.上に向けた手首の親指側のくぼみに、人差し指と中指の指先を軽く当てます。

3.指先で拍動を感じる場所を探し、 指を軽く押し当てます。浮いている親指で手首を支えるように添えると安定します

4.時計を見ながら、15秒間の脈拍数を数えます。 数えた脈拍数を4倍すると、1分間の脈拍数が算出できます。


正常な脈拍とは、心臓が規則正しく、適切な回数で拍動している状態を指します。しかし脈拍は年齢や活動状況によって変化するため、一概に「これが正常」と言い切ることはできません。

ただし、基本的には以下のポイントで「正常な脈拍」とします。

・脈拍数(はやさ・遅さ)

一般的に、成人の安静時の正常な脈拍数は1分間に60~100回程度とされています。

運動をする人や若い人、内服薬がある人は薬の影響で安静時の脈拍数が50回/分以下になることもあります。また、睡眠時にはさらに低くなります。

・リズムと強さ

脈のリズムが トン・トン・トン と一定の強さで規則正しいことが正常な脈拍です。

トトン!と1拍走るようになったり、1拍抜けたり、脈に規則性がなく強さやリズムがバラついていると正常ではない脈拍といえます。


安静時の脈拍数が1分間に100回を超える場合を頻脈といいます。頻脈がおこる不整脈には心房細動、心房粗動、発作性上室性頻拍などがあげられます。

安静時の脈拍数が1分間に50回未満の場合を徐脈といいます。徐脈がおこる病気としては、洞不全症候群、房室ブロックなどがあげられます。

不整脈以外にも甲状腺の異常・自律神経失調症・貧血や脱水などで脈のスピードに異常がでることがあるのでさらに詳しい検査をおすすめします。

期外収縮は正常な脈に時々早い脈や、1拍とんで強い脈が混じる健康な人でも起こりうる、比較的よく見られる不整脈です。自覚症状は全く感じない人もいれば、脈の乱れや動悸、ひどい場合やめまいを感じる方もいます。

ほとんどの場合心配のない不整脈ですが、頻度が多いと心臓に負担をかけることもあります。また、心臓に何かしらの異変があって期外収縮を起こしている場合もあるので一度専門医への相談をおすすめします。

心房細動は脈拍が不規則になる不整脈で、自覚症状は動悸・疲れ・めまい・胸の不快感がありますが自覚症状のない方もいます。一時的に心房細動になる方もいるので、健康診断や病院の心電図では記録されにくい特徴があります。

心房細動になると血栓ができやすくなり、脳梗塞や心筋梗塞などの重大な病気をひきおこしたり、心臓のポンプがうまく働かずに心不全を起こす原因にもなるので放置は禁物です。

ペースメーカーを入れている方は自己検脈は重要です。ペースメーカーにはひとりひとりに合わせた「設定」がされていて設定された最低心拍数を維持したり規則正しい脈のリズムを維持するように作動します。

自分で検脈することで脈拍数が設定値に近いかどうかを確認できます。 設定値よりも脈拍数が極端に低い場合や高い場合やリズムが不規則な場合、ペースメーカーの異常や体調の変化が考えられます。

速さやリズムの「設定」については、退院時にお伝えされたり、お手持ちのペースメーカー手帳に記録されています。不明な方は、かかりつけ医へ確認してみてくださいね。


調子が悪い時だけでなく日々のご自身の脈を知ることで、「普段通り」と「異常」を見分けることができます。一度やり方を覚えると、「あれ?」と感じた時すぐになんの準備もなくチェックできとても便利です。

また、だれかの脈をとってあげることもできます。

先日突然、母から電話があり「父の具合が悪く、血圧測定をしてもエラーになる」「自分の脈は普段から分かるけど、今お父さんの脈を触れてもわからない」というのです。すぐに救急車をよんでもらうと血圧が60台しかなく、そのせいで脈が触れなくなっていました。幸いすぐに適切な処置をしてもらったので大事には至りませんでした。

このように突然異変が起こった時にも、状態を知り、誰かに伝えるためのツールにもなります。

自己検脈は、ご自身の健康を守るための第一歩です。ぜひ、今日から自己検脈を始めて身体と向き合う時間を作ってみてくださいね。

監修:柴山 謙太郎

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