柴山医師が『「心臓弁膜症」と言われたら読む本』を執筆・出版しました

  • 2021.04.04

東京心臓血管・内科クリニック院長の柴山です。

2021年2月に『「心臓弁膜症」と言われたら読む本』を中外医学社より出版いたしました。虎の門病院 循環器センター外科 特任部長 兼 東京ベイ・浦安市川医療センター 心臓血管外科部長である田端 実 先生との共著です。

当クリニックでは、ご本人やご家族が心臓弁膜症と診断された方やすでに治療をされた方など様々な患者さんがおられます。そのため、心臓弁膜症についての知識や理解についてそれぞれ異なっているのが実状ですが、診療時のみでそれらをすべてお伝えすることは困難です。そのため診断から紹介、治療および治療後について必要となる情報を一冊の本にまとめておく必要があると考えて拙本を執筆するにいたりました。

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この本の主な目的は3つあります。一つ目はもちろん、ご本人やご家族が心臓弁膜症のことを理解するために活用して頂く目的です。ご本人やご家族、あるいはお知り合いの方が心臓弁膜症と言われたときに、心臓弁膜症についてのまとまった情報から病気を知ることで、現在の症状や重症度はどの程度なのか、今後どのような経過をたどっていくのかをイメージすることができると思います。

二つ目の目的は、心臓弁膜症と診断されたら次にどのような行動を起こせばよいのか、患者さんに一緒に考えてもらうためです。心臓弁膜症と診断されてもすべての人がすぐに手術が必要な訳ではなく、診断された時には手術の適応に至っていない場合の方が多いです。しかし、心臓弁膜症は徐々に進行していく病気です。つまり、いずれ手術やカテーテル治療など侵襲的な治療が必要となる可能性があります。ですから、そのような治療が必要となるまでの間、どのように病気の経過をみるのか、治療を受ける施設をどのように探すべきなのか、どのように治療後のアフターケアをしていくのか、を考えていくことが重要です。

最後の目的は、治療後のことを正しく知ってもらうためです。心臓弁膜症の治療は手術を受けたらその後の適切なアフターケアが重要であり、それによって術後に安定した健康的な生活を送ることが出来るのです。また、どのような弁膜症でも治療後に病気が再発するリスクは必ずありますので、それをしっかりと評価していく必要があります。そして、状況によっては再び手術が必要となる場合、弁膜症の診療経験が豊富な専門医と相談していくべきと考えます。

この本を通じて私たちは、心臓弁膜症という病気が正しく認識されるように願うとともに、患者さんやご家族にとって正しい診断がなされ、適切な治療やアフターケアを受けられるような正確な情報を提供したいと思っています。また、その結果として「患者さん 本位の正しく誠実な医療」を実現したいと考えているのです。この本が心臓弁膜症の患者さんやそのご家族、お知り合いの方々にとって一助となることを切に願っております。

文責:柴山 謙太郎

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