更年期前後の女性に多い胸痛 ~微小血管狭心症について~
- 2026.03.13
こんにちは、副院長の保科です。
今回は更年期前後の女性に多い胸痛についてのお話をさせていただきます。
目次
1. その胸の苦しさ、「更年期だから」と諦めていませんか?
2. 微小血管狭心症とは?
3. なぜ更年期前後の女性に多いのか
4. 当院での診断の流れ
5. 当院の役割と専門病院との連携
6. 治療について
7. こんな方はご相談ください
1. その胸の苦しさ、「更年期だから」と諦めていませんか?
階段を上ると胸が苦しい、運動すると締め付けられる感じがする、安静にしていても胸に違和感がある——。そんな症状を「年齢のせい」と放置していませんか?
こうした症状の背景に**「微小血管狭心症」**が隠れていることがあります。40代後半以降の女性に多く、見逃されやすい疾患です。早めの診断と治療が大切です。
2. 微小血管狭心症とは?
心臓には太い血管のほかに、肉眼では見えない微小血管が無数に存在し、心筋に直接酸素と栄養を届けています。この細い血管がうまく拡張できなくなったり、けいれんを起こしたりすることで心臓への血流が不足する状態が微小血管狭心症です。
通常の心臓CTやカテーテル検査では太い血管しか評価できないため、「検査で異常なし」と言われても症状が続く場合、この疾患の可能性があります。
3. なぜ更年期前後の女性に多いのか
女性ホルモン(エストロゲン)には血管を保護する働きがあります。閉経前後にこのホルモンが急減すると微小血管の機能が低下しやすくなります。胸痛でカテーテル検査を受けた女性のうち、太い血管に異常がなかった方の約半数に微小血管の機能異常が確認されたという報告もあります。
4. 当院での診断の流れ
心電図検査/来院時に症状がある場合は受付でお伝えください。優先的に検査します。
血液検査/心臓への負担や動脈硬化リスクを評価します。
心臓超音波検査(心エコー)/安静時の心臓の動き・形・弁の状態を確認します。
負荷心エコー図検査/運動で心臓に負荷をかけながら超音波検査を同時に行います。安静時では分かりにくい異常を捉えることができ、胸痛の原因精査において重要な検査です。
5. 当院の役割と専門病院との連携
微小血管の精密評価には、専門病院での高度な検査(心臓カテーテル検査など)が必要になる場合があります。「大病院は敷居が高い」と感じる方も多いと思います。
当院は症状の評価・診断の方向付け・専門病院へのご紹介まで一貫して対応します。「まずここに来れば、次にすべきことが分かる」——そんなかかりつけ医の役割を大切にしています。
6. 治療について
薬物療法/β遮断薬・カルシウム拮抗薬・ACE阻害薬・スタチンなどを症状に合わせて組み合わせます。なぜその薬を選ぶのか、必ずご説明します。
生活習慣の改善/ウォーキングなどの有酸素運動・バランスのよい食事・禁煙・ストレス管理が血管機能の改善につながります。「どのくらい運動すればいいか」など、生活スタイルに合わせた具体的な目標を一緒に決めていきます。
症状が改善してからも定期的に状態を評価しながら、長期にわたって伴走するのが当院のスタイルです。
7. こんな方はご相談ください
・更年期前後で胸痛・息切れが気になる
・「検査で異常なし」と言われたが症状が続く
・運動時に胸の不快感がある
・大病院受診前にまず相談したい
当院では「気のせい」「更年期だから」では終わらせない循環器診療を心がけています。お気軽にご相談ください。
なお本記事は一般的な医学情報の提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。
文責 保科 瑞穂