春は動悸がしやすい季節? ~花粉症や季節の変わり目との関係~

  • 2026.04.09

こんにちは、看護師の堀井です。

春になり、暖かい日も増えてきましたね。

季節の変わり目になると、体調を崩しやすいですが、その中のひとつに動悸の相談があります。

「気のせいかな」と思いながらも、気になって受診してくださる方が少なくありません。

実はこの「春の動悸」 気のせいではないんです。今日は、なぜ春に動悸が起きやすいのか、そしてどんな症状のときに受診が必要なのかをお伝えしたいと思います。


実は、春は一年の中でも自律神経が最も乱れやすい季節のひとつです。

春は1日の寒暖差が大きく、低気圧と高気圧が交互にやってきます。気温や気圧の変化は自律神経への刺激になり、交感神経が過剰に働いて心拍数が上がりやすくなります。

4月は転勤・異動・入学など環境が大きく変わり、本人が「大丈夫」と思っていても体は緊張状態が続きます。

日が長くなることで睡眠リズムも崩れやすく、眠りが浅くなることも自律神経の乱れにつながります。

さらに、花粉症のアレルギー反応が起きると体の中で炎症に関わる物質が放出され、自律神経をさらに乱す要因になります。

このような背景が重なる春は、体が「少し過敏な状態」になりやすい季節だといえます。


上でも少し触れましたが、花粉症そのものが動悸の原因になることがあります。

アレルギー反応が起きると、ヒスタミンをはじめとする炎症に関わる物質が体の中で放出されます。これが血管や神経に作用して自律神経のバランスが崩れ、心拍数が上がったり胸がざわつく感じが出たりすることがあります。

花粉症で鼻が詰まると、夜間に口呼吸になりがちです。

口呼吸は睡眠の質を下げ、眠りが浅い状態が続くと自律神経の回復が妨げられます。「花粉症の時期は朝から疲れている」という方は、この悪循環が起きているかもしれません。

睡眠不足の状態が続くと、日中の動悸や息苦しさとして体に現れやすくなります。

目のかゆみや鼻水、くしゃみなどの不快な状態が長く続くと、体は知らず知らずのうちにストレスを感じ、自律神経のバランスが崩れやすくなります。

もうひとつ注意が必要なのが、花粉症の薬の影響です。

花粉症の治療に使われる薬は、多くの場合安全に使用できますが、種類や体の状態によっては心臓に影響を与えることがあります。

抗ヒスタミン薬(花粉症の症状を抑えるお薬)は、「第一世代」「第二世代」に分けられます。

第一世代の薬(クロルフェニラミンなど)は鼻水やくしゃみを抑える効果がある一方で、「抗コリン作用」という心臓の脈拍をコントロールする司令塔に作用しやすい性質があります。

この作用により、心臓のリズムをつくる部分に影響し、脈が速くなったり、動悸として感じられることがあります。

また、一部の薬では心臓の電気的な流れに影響し、脈の乱れにつながる可能性も指摘されています。

現在も医療機関で処方されることがありますが、特に注意が必要なのは「市販薬」を自己判断で購入する場合です。 多くの市販薬にはこの第一世代や、血圧を上げやすい成分が含まれているため、知らずに服用を続けてしまうケースが少なくありません。

「いつも使っている薬」が実はこれに当てはまる場合もあるため、購入時には成分表示を確認することが大切です。

現在、医療機関でよく処方されるのは第二世代の抗ヒスタミン薬(フェキソフェナジン、ロラタジン、レボセチリジンなど)です。これらは心臓への影響が少なく、通常の使用では比較的安全とされています。

ただし注意したいのは「薬の組み合わせ」です。

すでに心臓や血圧の薬を飲んでいる方が花粉症の薬を追加する場合、それぞれ単独では問題がなくても、組み合わせによっては脈の乱れが起きやすくなることがあります。

「花粉症くらいで相談してもいいのかな?」と迷われる必要はありません。
心疾患の治療中の方や、複数の薬を服用中の方は自己判断で薬を増やす前に、ぜひ一度ご相談ください。


春の動悸は自律神経の乱れが原因であることは少なくありません。

しかし症状だけを見ると、心臓の病気から来る動悸と区別することはできません。

「春だから仕方ない」「花粉症のせいかな」と思ってそのままにしてしまうと、重要な心臓のサインを見逃してしまう可能性があります。

心臓からのサインと区別がつかないからこそ、気になったら一度確認しておくことが大切だと思っています。


受診すると、まず心電図で心臓の電気的な活動を確認します。その場で動悸がなくても、心臓の状態を確認できます。

さらに気になる場合は24時間の心電図(ホルター心電図)で日常生活の中での脈の動きを記録することもできます。

また、心臓の動きや弁の状態を確認できる心エコー(心臓超音波検査)を行うこともあります。

心エコーは痛みのない検査で、心臓のポンプ機能や弁に問題がないかどうかを確認できます。「動悸が続いているのに、心電図では異常が出なかった」という方には、特に心エコーが大切な手がかりになることがあります。


春は、体や心が一生懸命変化についていこうとしている季節です。

無理をしすぎず、体調に変化を感じたときは、少し立ち止まって休むことも大切です。

「これくらいで受診してもいいのかな」と迷ったときこそ、ぜひ遠慮なくご相談ください。

監修:柴山 謙太郎

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