心臓への負担が採血でわかる?~BNPのおはなし~

  • 2025.10.16

こんにちは、看護師の堀井です。

「最近、息切れしやすい」「むくみが気になる」「動悸がする」…そんなことはありませんか?
年齢や疲れのせいにしがちなこうした症状も、実は心臓が関係していることがあります。
心臓の状態を知るには大がかりな検査が必要?と不安になるかもしれませんが、血液検査でも心臓の状態を知る手がかりが得られることがあります。

中でも『BNP』や『NT-proBNP』という項目は、心臓への負担や心不全の兆しを数値として表してくれます。

この検査は、一般的な健康診断には含まれていないことが多い検査です。
当院でもこの検査を行っており、循環器系の持病がある方や、気になる症状がある方の心臓のチェックに活用しています。
今回はこのBNPについて、どんな検査なのか・どんな人が受けると良いのか等わかりやすくご紹介します。


BNPは「脳性ナトリウム利尿ペプチド」というホルモンの一種で心臓が強く引き伸ばされたり、過度な圧力がかかったとき心臓から分泌される物質です。

身体に対して、血管を広げたり、水分と血液の量を調節してできるだけ心臓の負担を軽くしようと働く心臓の仕事を応援・サポートしてくれる役割があります。

ですから、BNPの値が高いということは、それだけ心臓が「助けが必要な状態」=負担を感じているというサインでもあります。

BNPとよく似た検査に「NT-proBNP(エヌティー・プロ・ビーエヌピー)」というものがあります。
BNPとNT-proBNPは、同じホルモンが作られるときに一緒に出てくる“兄弟のような存在”です。

両方とも「心臓にどれくらい負担がかかっているか」を見る検査で、どちらの検査を使うかは、医療機関や検査機器によって異なる場合がありますが、目的はほぼ同じです。

当院ではBNPは迅速検査で採血後最短15分、NTproBNPは外注検査で採血後1~3日以内に結果を出すことが出来ます。


「心臓に負担がかかっている」というのは、具体的にどんな状態でしょうか。

血圧が高かったり、心臓の筋肉が弱っていたり、弁膜症などで血液の流れに逆流や滞りがあると、心臓は通常よりたくさん働かなくてはならなくなります。

これが「心臓に負担がかかっている」状態です。

BNPの数値が高くなるのは、まさに心臓がその負担を感じて「これ以上無理をしないように」と体にサインを出している証拠といえます。

BNPとNT-proBNPはどちらも心臓の負担をみる検査ですが、基準となる数値(異常と判断される値)が少し異なります。

正常値はBNPでは18.4pg/mL以下、NTproBNPでは55pg/mL以下となります。

また、BNPでは35pg/mL以上、NTproBNPでは125pg/mLから心不全を疑う数値となります。

数値が上がっているからといって、すぐに心不全というわけではありません。


・その症状「心臓が疲れてる」サインかも?

・動くと息切れがする、前に比べて息切れしやすい

・横になると息苦しい

・むくみが続いている、強くなっている

・動悸や胸の圧迫感がある

・疲れやすく、以前より体力が落ちた

・体重が急に増えた

このような症状は「心不全」の初期症状の場合があり、BNP検査で心臓の負担の数値をみることで心不全の除外や、早めの診断で入院や重症化を防ぐことができます。


・症状がなくても要注意!心不全リスクの高い方

・高血圧・糖尿病・腎臓病などの持病がある

・喫煙・飲酒の習慣がある

・睡眠時無呼吸を指摘されたことがある

・過去に心臓の病気を指摘されたことがある

これらに当てはまる方は知らないうちに心臓に負担がかかっていることがあります。
自覚症状がなくても、BNP(またはNT-proBNP)検査で定期的にチェックしておくと安心です。


BNPやNT-proBNP検査は、採血だけで心臓の状態を数値として確認できる便利な検査です。
息切れやむくみ、動悸などの症状がある方はもちろん、「健康診断では異常がなかったけれど気になることがある」という方にもおすすめです。

気になる症状がある方や、心臓の健康チェックをしてみたい方は、どうぞお気軽にご相談ください。

監修:柴山 謙太郎

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