歩数を数えることで健康になる可能性【適度な運動 = 健康】
- 2019.08.01
こんにちは、中央区日本橋人形町で循環器内科・内科を診ております、東京心臓血管・内科クリニック院長 柴山です。毎日の歩数を計測している人は、より生活が活動的になるだけでなく、心臓発作や骨折などの健康上のリスクが低下する可能性が報告されました。(PLoS Med. 2019 Jun 25;16(6):e1002836. doi: 10.1371/journal.pmed.1002836.)
この研究では、1,297人の健康な成人を対象としています。対象者の半数を12週間にわたって歩数計で歩数を計測する群、残りの半数をまったく歩数計測しない群に分けて調査を実施しました。調査ではすべての対象者には、歩数が1日約7,500歩で、1回10分以上の中程度ないし活発な身体活動を週に90分程度実施してもらうことにしました。
この研究に参加したときの対象者の年齢は45~75歳であり、その多くは過体重または肥満でした。そして、対象者の大半は喫煙をしていない比較的健康な成人であり、心血管疾患、糖尿病、および抑うつ状態のいかなる既往もありませんでした。
3~4年後に対象者に確認をすると、歩数計を使用していた群は、さらに週に約30分間も多く適度な身体活動を実施していたことが明らかになりました。また、歩数計を使用していた対象者は骨折のリスクが44%低く、心筋梗塞または脳卒中といった重篤な心血管イベントが発生するリスクも66%低かったことがわかりました。
しかし、歩数計を使用した対象者は適度な運動をおこなっているため糖尿病や抑うつ状態にはなりにくいと考えられましたが、 この研究では歩数を使用しなかった対象者との間に差を認めませんでした。
歩数計を使用することで、自身がどの程度の活動を行っているのかを明確に把握することができます。徐々に歩数を伸ばすための現実的な目標を設定する際に使用できることから、健常な人たちにとっても歩数計は有用な機器であると考えます。自分自身の日常生活での歩数を把握したのちに、歩行の頻度と安全に歩行できる速度の両方を徐々に増やす計画を立てていくことが重要です。
歩数計を施行することで害が生じることはほとんどありません。 歩数計、ウェアラブルデバイス、またはスマートフォンで毎日の活動を計測することは、適度な運動を維持するために重要と考えられます。しかし、より持続できるようにするために、何らかの目標設定や指導、または社会的な介入などと組み合わせるとより効果的であると考えられます。今後の健康に役立てていただければ幸いです。
文責:柴山 謙太郎