動悸が気になることはありませんか?~不整脈の検査を受けてみよう~

  • 2024.03.13

こんにちは、看護師の三浦です。

年度末になり、仕事や私生活においても切り替えの時期で忙しい時期になりましたね。疲れも蓄積しやすい環境になってくると、寝不足や、疲れている時、ふとした瞬間などに自分の心臓の拍動を感じるような動悸が気になることはありませんか?

何となく、疲れのせいにして様子を見ている人も多いかと思います。

今回は動悸・不整脈についてと、当院ではどのような検査ができるのかご案内させていただきます。

新年度に向けて、気になっていた症状や健康診断の心電図異常などは、この年度末にしっかりと受診をしてみてはいかがでしょうか?


動悸とはなんのこと? 

動悸とは普段は自身では意識していない心臓の拍動を感じることです。動悸は主観的な感覚であり、ドキドキ・バクバクと早く感じるドクンと拍動を強く感じる脈がバクンと飛ぶような感じ拍動のリズムが乱れている感じなど、人によって感じ方や表現方法は様々です。動悸がするから必ず不整脈があるというものではありません。動悸を感じている時に心電図をとっても正常なことも多くありますし、実際の不整脈の出現に併せて動悸を感じることもあります。それと逆に、不整脈が起きているにも関わらず動悸を感じないこともあります。


不整脈ってなあに?

心臓は心臓自体から出る電気刺激で収縮し拍動します。この電気が流れる回路を「刺激電動系」といい、電気刺激が一定のタイミングで出現し、電気回路を決まった向きで流れることによって、一定のリズムで拍動します。正常な心拍はおおよそ50~100回/分であり、50回/分以下を徐脈100回以上は頻脈といいます。

この電気刺激系に異常が生じ、リズムやパターンなどが正常域から外れた脈を不整脈と言います。

刺激電動系に異常な電気回路ができてしまうことで頻脈を起こしたり、電気刺激を出し始める部位の電気刺激が一定のタイミングで出なかったり、電気回路の途中が途切れてしまうと、電気刺激が迂回したり、脈が飛んだり、徐脈になってしまうことがあります。

また、心筋梗塞や心筋症など心臓のダメージによっても、刺激電動系に異常が生じ、不整脈が出ることがあります。

不整脈も種類や程度があり、必ずしも命にかかわる訳ではなく、経過観察~治療対象まで様々です。

刺激電動系の電気の流れ

心配な不整脈とは ~不整脈の種類について~

  • 徐脈

心臓の機能は脳をはじめ全身に血液を送るポンプの役割を果たしています。そのため、脈がお休みしてしまったり、徐脈過ぎたりすることにより、血液を送り出すのに必要な回数の心臓の収縮が起きず、脳などの主要臓器に充分な血流が行かなくなることがあります。すると、失神や眩暈がしたり、息苦しさや全身の怠さを生じることがあります。

  • 頻脈

反対に、異常な電気刺激や異常な電気回路が生じることによって、脈が速くなりすぎてしまい、心臓が十分に収縮できなくなり、血圧が低下することで同様に、脳に必要な血液を送り出すことが出来ず、激しい動悸、胸部不快感、息苦しさ、ふらつきや冷や汗、眩暈を生じるものや、ポンプ機能として有効な心臓の収縮を起こせず、心停止を起こしてしまうような不整脈もあります。脈が速く、血圧が下がってしまい、動けない時は救急車の要請が必要なこともあります。

  • 心房細動

最近ではアップルウォッチがアラートを発してくれるようになった、心房細動という不整脈は、心臓の上部にある心房という場所から電気刺激がランダムに頻発してしまうことによって、脈が不規則になり心臓の中で血流がよどみ、血栓を生じてしまうことがあります。その血栓が心臓から脳に向かう大動脈に乗り、脳に飛んでしまうと、脳梗塞や脳出血に繋がるリスクがある不整脈です。

心房細動が必ず血栓を生じるわけではなく、ハイリスクであるかどうかの循環器専門医のスクリーニング(鑑別)が必要です。当院でも、アップルウォッチで心房細動を指摘されたとのことで、アップルウォッチの心電図を持参し来院され、実際に心房細動が見つかった症例もあります。

     心房細動
  • 不整脈による心臓への負担

さらに、不整脈の種類によっては放置してしまうことで心臓が拡大し、心臓の弁が締まりにくくなり、心臓弁膜症や心不全をきたすこともあります。

上記のように、不整脈が生じることで心臓のポンプ機能の役割が果たせなくなり、主要臓器へ必要な血流を送り出せなくなったり、血栓やさらなる心疾患を引き起こしてしまうリスクがある状態の不整脈は早めに循環器内科を受診した方が良い不整脈といえます。


健康診断でよく指摘される不整脈について

健康診断で指摘を受けることが多い不整脈は、「期外収縮」が最も多いかもしれません。

期外収縮は上記でお話した、電気刺激系において、予定したタイミングよりも早く電気刺激が起きることによって、心臓の収縮が発生します。電気刺激が起きる場所は、心房であれば、「上室期外収縮」、心室から発生した場合は「心室期外収縮」と言われます。

自覚症状の感じ方は人それぞれですが、リズムが乱れて脈が飛ぶ感じ、胸がウっと詰まる感じ、急に心臓に血液が流れ込む感じというような表現をされることがよくあります。中には、自覚症状がなく健康診断で指摘を受けて、二次精査で来院される方もいらっしゃいます。

期外収縮は健康な人でも起こることがある不整脈ですが、期外収縮がどの程度出現しているか、心臓に負荷がかかっているか、自覚症状が日常生活に影響を及ぼしているかどうかがポイントになります。

成人の正常な総心拍数は約10万回/日程度です。そのうち、期外収縮の出現率が10%以上であったり、期外収縮が連発し、ふらつきや動悸などの自覚症状が強いときには治療対象となります。

内服で様子を見る場合もあれば、心臓に負担がかかるほど頻回に出現していた場合は、専門医療を行える医療機関をご紹介し、電気の発生源を焼いてくるカテーテルアブレーションの手術を行うこともあります。


当院で出来る不整脈の検査について

・24時間ホルター心電図 

胸にシールタイプの電極と小型のレコーダーを張り付けて24時間の心電図を記録します。基本は24時間の装着ですが、8時間以上記録できていれば検査可能です。ホルター心電図は装着中に不整脈が出ていれば、どのような不整脈であったかどうかを記録に残すことができます。

検査中も通常の日常生活であれば大きな制限もなく、侵襲性もないので不整脈の精密検査におすすめです。

湯船やプールは入れませんが、シャワーを浴びることは可能なので運動する方や、汗をかきやすい夏場も装着できます。

装着中は、湯船、プールなどの水に浸かることや、電気毛布や電気治療器具、電導美容機器の使用は控えていただきます。

基本は、装着した翌日に取り外しのために来院する必要があります。土曜日につけた場合は、24時間後に電源が切れたことを確認後に、ご自身で取り外し、月曜日にクリニックへご持参いただきます。

当院で取り扱っているホルター心電図はレコーダーが胸部に設置するものと腹部にゴムバンドで一緒に固定するタイプの2種類があります。

装着部位やサイズなど下記の写真をご参照ください。

・心電図

心電図をとっている、その時に不整脈が出ていれば、心電図でとらえることが出来ます。

その時に出ていなくても、通常時の心電図と症状出現時の心電図の比較にも役立ちます。心電図検査は痛みはありません。

両手首、両足首、胸部に電極を装着します

・採血検査

不整脈出現に伴って心臓に負荷がかかっているかどうかを調べることができます。

当院では主にNT-proBNPといった項目を用いています。

不整脈に伴って、血栓が生じている場合はDダイマーという値が上昇してくることもあります。

・心臓超音波検査(心エコー)

不整脈により心臓に負担がかかった時に、心臓が拡大してきていないか、心臓の中に血栓ができていないか、心臓の弁に異常をきたしていないか、心臓の収縮能力はどのくらいあるかなどを、血が出るような侵襲性や痛み無く検査することができます。

検査はベッドに横になり、胸部に水分でできた、ジェルを塗りプローブというエコーの機械を当てながら行います。

超音波検査

気になる動悸や健康診断での要精密検査など、心臓にご不安がありましたらいつでもご相談ください。

監修:柴山 謙太郎

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