心臓手術後のフォローアップ受診について~地域のかかりつけ循環器クリニックを決めよう~

  • 2024.02.26

こんにちは、看護師の三浦です。

あっという間に1月も終わり、そろそろ3月になりますね。次の長期休暇はゴールデンウイークでしょうか?

長期休暇というと旅行などの予定を連想されることが多いと思いますが、実はお仕事のお休みをまとめて取ることが出来る、そのタイミングで手術をされる方も多くいらっしゃいます。心臓の手術も例外ではありません。

心臓カテーテル治療を含む、心臓の手術をされた方々が、手術を実施した高度医療機関と呼ばれている大学病院などの大きな病院でのフォローアップの通院が終わる頃、次の通院先をどこにしようかと悩まれることがあるかと思います。

今回は、手術後に次の通院先探しに悩まれていらっしゃる方々に、地域のかかりつけの循環器クリニックの選び方についてお伝えしていきたいと思います。


日本における年間の心臓手術件数はどのくらい?

日本心臓血管外科学会の日本心臓血管手術データベースによると、2018年の時点での心臓血管外科症例数は年間70932件(成人)+9600件(先天性心疾患)であり、合計約8万件になります。

このほかにも、心筋梗塞や狭心症などのカテーテル治療では、日本循環器学会が実施した全国の循環器科・心臓血管外科を標榜する、1534 施設から回答を得た循環器疾患診療実態調査に結果によると、2020年の緊急の心臓カテーテル治療件数は79,472件であり、さらに待機的に実施された狭心症や不整脈の心臓カテーテル治療も含むと、多くの心臓・血管治療が年間に実施されていることになります。

超高齢化社会の高齢者数の増加に伴う心臓弁膜症患者の増加や、食事の欧米化による脂質異常症や糖尿病、高血圧などの生活習慣病の増加から冠動脈疾患の発生も多くなり、心疾患の患者数は増加しています。

さらに、弁膜症に対しても開胸(胸部の真ん中を切り開いての手術)せずに実施できる、血管内を通して心臓に到達できるカテーテル治療や、小さく切開した傷口から内視鏡やロボットで手術を行う、体に負担が少ない低侵襲性の治療方法もあるため、体力が低下した方や、高齢者であっても、実施可能な手術の選択肢も広がっています。

このように、心疾患率が増大する高齢者の増加だけではなく、医療の技術的な進歩からも、手術が不可能とされていた方も手術の適応となり、心臓手術の件数自体は増加していると考えられます。


手術した病院にはいつまで通うの?

心臓の手術や心臓カテーテル治療をする病院は、大学病院や総合病院などの専門医療を担う高度医療機関が中心となってきます。

では、退院後はどうでしょうか。患者さんの体の状態やそれぞれの病院、主治医の考えにもよりますが、おおよそ術後数か月~1年程度の期間は手術を実施した病院で術後の経過をみるための、フォローアップ通院をされていることが多いと思います。

患者さん自身や、付き添いのご家族の方からは、術後の経過も良く、体の状態が安定してくると、定期的なお薬の処方や検査を実施するために仕事を休み、一日かけて大きな病院を受診する労力や時間が大変とのことで、通院に負担を感じると話されるお声をお聞きすることも多いです。

特に高齢者の方の中でも、体力が低下している方にとって1日がかりの待ち時間や検査での移動は、身体的に負担を感じることもあります。

中核病院と地域医療では病院規模での機能的な役割が異なることから、手術を実施した大学病院や総合病院などの専門医療を提供する病院側でも、術後の状態が落ち着いた患者様にはクリニックなどの地域医療での継続的なフォローアップに移行していただくようになるといった説明を受けるようになります。


手術後の心臓をしっかりと見てくれるクリニックの選び方

手術をした先生からは状態も落ち着いているのでそろそろ、地域のクリニックへの移行を提案された時に、どこのクリニックへ行ったらよいのかという悩みが発生してくるかと思います。そんな時のクリニック選びのお役に立てればと思います。

まず第一に、循環器専門医がいる循環器内科の病院であることです。昔と比べて、医療の専門もだいぶ細分化されました。もちろん、どこを受診したら良いのか分からないような体調の不良に対して総合的に診察できる力も重要ですが、心臓の手術後には専門医として、循環器の分野に長けており、変化を見逃さず、心エコーやホルター心電図、CT・MRIなどの検査の必要性や結果を正確に判断することができ、循環器の専門的な薬を適正に取り扱える知識と経験があることが必要になります。

特に、心臓手術やカテーテル治療後は、術後という病態であると考えて、現在の心臓の状態よりも悪くならないように、心不全を起こさないように、不整脈が再発した時には早く気がつけるようにと、細やかなフォローアップをしていきます。そのため、上記の通り、循環器専門医をかかりつけ医として持つことが大切になってきます。

他には、通いやすさと信頼関係です。循環器疾患は、心臓の予備機能を低下させていくことが多く、心疾患の終末像として心不全があります。心臓の状態の増悪予防の観点から、心臓を保護するような内服の継続や、定期検査をしていくことが重要となるため、かかりつけ病院の医療スタッフとは長期でのお付き合いとなります。そのため、体の不調について話しやすく、親身になって耳を傾けてくるような信頼できる主治医や、通いやすい場所にあること、開院時間が仕事や家庭環境などのライフスタイルに合っているかどうかということはとても重要です。

また、患者さんと医師も人間同士なので相性という点はどうしてもあるかと思います。一般的にメディアなどで人気があり、有名と言われていても、受診をしてみた時に自分にとっての名医となるかどうかは異なってくるかもしれません。必ず同じクリニックに通い続けなくてはならない決まりはないので、手間もあるかもしれませんが、再度、紹介状を書いてもらいご自身が納得され、安心して通院を継続できる病院を探すことも手段の一つかと思います。


当院でのフォローアップ通院について

当院では早いと術後2週間から来院される患者様から、術後数か月~1年、転居のタイミング、幼少期に指摘を受けたり、治療をしていたことがあるような先天性心疾患のフォローアップを希望される患者様など様々な方が来院されます。

特に、手術を担当した医師から、術後の早期の患者様を安心してお任せしていただけるということは、大変責任が大きいことですので、地域連携レベルでハートチームとしての関係性の構築や、医師同士でもお互いの診療力に対して信頼し合っていることを表していると思います。

当院では全ての医師が、循環器専門医の中でもさらに専門的な心エコーや心血管インターベーションの専門医の資格を有しており術後のフォローアップの体勢が常に整っており安心して通院できます。

特に、院長の専門分野は心エコー検査であり痛みや、血が出るなどの侵襲性はなく術後の心臓の状態把握にとても適しています。正確な心エコー診断だけではなく、必要性によって連携している画像診断クリニックにて画像診断をしてもらうなど柔軟に必要な検査を実施することや、症状増悪時の入院や手術などが必要となった時には、大学病院や総合病院などの専門病院への連携もスムーズに行っております。

なかには、いつも同じ医師の診察でないと不安を感じる患者様もいらっしゃるかもしれません。

もちろん、ご希望があれば同じ医師の診察を受けることも出来ますが、一つのクリニックで何人かの循環器専門医の目線で診察を受けることが出来るということは、医師の人数分の多角的な視点で症状や病気を捉えてもらうことが出来ますし、検査情報を院内で引き継ぐことが出来るので、自分と合う医師を探している方も含めて、利点があると思います。

当院は中央区人形町といった都心の中心である立地ゆえ、交通の利便性も良く、開院時間も19:15(月・火・水・金)までと他のクリニックに比べて遅く、土曜日、木曜日も13:15まで診療しているので仕事と通院の両立もしやすいです。

当院が皆様にとって、手術後も安心して通える循環器クリニックであり続けられるように、これからも精一杯、努めていきたいと思います。

術前のセカンドオピニオンも受け付けておりますので、循環器疾患で病院選びに迷われておりましたら、是非当院へお気軽にご相談ください。

監修:柴山 謙太郎

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