いつもの階段が辛く感じていませんか?~心臓弁膜症の可能性をチェックしてみましょう~

  • 2023.09.06

こんにちは。看護師の三浦です。外出を控えたくなるような残暑が続いていますが、この時期はエアコンの冷えや、猛暑を乗り越えたこともあり夏の疲れが出やすい時期になります。また、夏季休暇も終わり生活リズムの変化による疲れを感じている方も多いと思います。今回は、夏の疲れかもと思っているような症状にあわせて、心臓弁膜症についてお話をさせていただきたいとおもいます。

心臓弁膜症というと、テレビのCMで見聞きしたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。最初に弁膜症とは何かを簡単にお話しします。


心臓の構造と血液の流れ

心臓は4つのお部屋に分かれており、全身をめぐる血液のポンプ機能を果たしています。まずは心臓の右側に位置する、右心房へ全身に酸素を届け終わった酸素の少ない血液(静脈血)が帰ってきます。そのあと、右室という下の部屋に流れ、肺静脈という血管を通り左右の肺に運ばれていきます。肺では血液中の酸素交換が行われ、酸素を多く含んだ血液(動脈血)に生まれ変わります。肺から出てきた動脈血は心臓の左側の部屋の左心房へ戻り、次に左心房の下に位置している左心室という部屋へ流れ、最後に大動脈という大きな血管に送り出されて動脈血は全身に巡っていきます。

    心臓の構造

心臓弁膜症 (心臓弁の異常)

心臓での血液の流れがスムーズにいくためには、心臓に存在する4つの弁がしっかりと機能している必要があるのです。弁膜症はこの弁に何らかが原因で機能に異常が起きることで、血液の逆流が生じてしまったり、血液が通りにくくなってしまている状態のことを言います。

原因は、生まれつき弁の形に異常がある場合や、細菌感染から弁の周りに菌の塊が付着して弁が壊れてしまうもの、高齢化により弁が石灰化し固くなることで生じるものなど様々です。また、弁膜症と言っても種類により異なりますが、重症度は大きく4段階に分かれており経過観察をするものも多く、全てが緊急の手術を要する訳ではありません。

大切なことはまず、自分の弁膜症がどの程度かを心臓超音波診断を得意とする循環器専門医に診断してもらい把握することです。その上で、状態に必要な治療や定期検査を行い、日常生活の留意しなければいけないことを知ることで増悪の予防や異常の早期発見をしていきます。


心臓弁膜症の症状

どのように心臓弁膜症であることに気が付くのでしょうか。自覚症状がある場合は労作時の息切れ、動悸などで体調の異変を感じることがあります。

他には、自覚症状が全く無くても、健康診断で心雑音の指摘を受け、精密検査で診断を受けることもあります。人間ドッグをしている方は、心臓超音波検査で僧帽弁閉鎖不全症や大動脈弁閉鎖不全症・狭窄症などの指摘を受けることがあるかもしれません。

いつもと同じ歩行距離や、駅・歩道橋の階段、坂道などで息切れ・動悸・怠さなどが普段以上に辛く感じることや、同年齢の方と一緒のペースで歩くと自分だけ息が上がってしまうなど、思い当たることはありませんか。疲れのせいだと決めつけず、循環器専門医を受診してみてください。


当院の院長は心臓超音波の専門の医師であり、心臓弁膜症の正確な診断を得意としております。当院と連携をしている大学・総合病院から来てくださっている医師たちも全員経験豊富な循環器専門医です。また、弁膜症手術となった場合にも患者様のご希望を聞きながら、信頼できる医療機関と連携を取り、手術後も主治医が途切れないようにしっかりとサポートをしております。当院では心臓超音波検査をする検査技師も心臓超音波検査の専門資格を有しており、心不全療養指導士や看護師が日常の療養生活指導をはじめ、術前術後も患者様のサポートに入りますのでお気軽にご相談ください。

監修 柴山 謙太郎

~耳寄り情報👂~

院長の柴山が弁膜症について丁寧に分かりやすく書いた本、『弁膜症と言われたら読む本』を出版しております。当院はもちろんのこと、アマゾンでも購入できますので是非とも、お手に取っていただき、「病院に来る前に読んで少しでも知識を付けておきたい!」「先生に聞きたいことをもっと明確にしたい!」など皆様に上手く利用して頂ければと思います。

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