高血圧の受診の目安は~血圧についてよくある質問~

  • 2024.08.10

こんにちは、看護師の堀井です。6月からの診療報酬改定に伴い「高血圧」「糖尿病」「脂質異常症」の治療で来院されている患者さまには療養計画書にサインを頂くなどお時間・ご協力をいただき、ありがとうございます。

その中でも特に身近な「高血圧」についてのおはなしです。

当院に来院される患者様でも、「健診で高血圧を指摘された」「別の症状で受診したら血圧が高かった」など様々なご相談をいただきます。

高血圧は身近に生じるからだの異常のひとつで、年齢とともに徐々に上昇してくる方が多く、どのくらいで受診をするべきかわからずタイミングを逃して放置してしまいやすい病気です。

しかし、高い血圧が長く続くと血管やその他臓器への負担も長く続き、場合によっては心臓や血管の形や厚みに変化が起こり元に戻らなくなってしまいます。

今回は当院を受診した患者様からよく聞かれる高血圧についての質問をいくつかご紹介します。

正しい知識で血圧をみていただき、受診の手助けになれば幸いです。

なお、高血圧について詳しい情報は下記のブログもご覧ください。


Q1.「いつもはこんなに高くないんです」

診察室や処置室で血圧を測定させていただくとよくこのように言われますが

数値をみて、焦らなくても大丈夫です。

慣れないクリニックに来院し、白衣を着た医療者に話をしている状態ですので多少のストレスで一時的に血圧が高くなってしまっている可能性があり、「いつもの血圧」として判断できません。

来院時の状態の目安として測定させていただいていますが、いちばん大切なのは普段の血圧も高いのかどうか?なのです。それを知るために、まずは家庭での血圧測定とその記録の持参をお願いしています。

ガイドラインでも診察室血圧と家庭血圧に差がある場合、家庭血圧を優先するとされています。

ご自宅に血圧計がある方はぜひ1週間以上毎日測定し、その数値をノートやアプリ等で持参ください。

その日の数値に一喜一憂せず、まずは1週間以上の数値の平均をみせていただきたいです。

測り方に関しては上記のブログに詳しく記載がありますのでご参照ください。

測定に不安のある方はスタッフがいつでも相談に乗りますのでお気軽にご質問ください。

Q2.「家の血圧計が合っているかわからない」

自宅での血圧測定をおすすめした時に、このように言われることも少なくありません。

「測るたびに数値が違うから」「外で測った数値と違うから」といった理由をよく耳にします。

血圧は変動しやすいものです。例えば測定中に会話をしたり、深呼吸をするだけでも数値に変化がでてしまいます。どの数値を信じてよいか迷う方は2度同じ腕で測定をしていただき、その2つの数値の平均値をその機会の血圧としていただくとよいでしょう。

もしそれでもご不安な場合は、血圧計を持参いただき当院の血圧計同時に測定し比べることでもチェックできます。

Q3.「すぐに薬が必要ですか?」

まずは、前述のように普段の血圧をみせていただきます。そして生活習慣や加齢以外に高血圧の原因になるような病気がないか、高血圧により心臓や血管に負担がかかってきていないか等を検査し、治療の必要性や方法を検討していきます。

高血圧治療は正常高値レベル(120/80mmHg)以上から生活習慣の修正が推奨されています。減塩をはじめとした食生活の見直し、運動や必要によっては減量・禁煙などをすすめた上で患者様の生活スタイルや希望に合わせて治療方法を検討・説明させていただきます。

しかし、高血圧による症状がある場合・血圧が著しく高い場合・合併症の危険が予測される高リスクな高血圧の場合にはすぐに降圧薬を必要とすることがあります。

Q4.「血圧160mmHg以下は治療しなくてもよい?」

最近、特に高血圧治療中の患者さまからこのような質問をいただく機会がありますが全くそうではありません。

では、160mmHgという基準はどこからきたのか?

これは、「全国健康保険協会」が行う未治療者の方への受診勧奨(重症化予防事業)からと考えられます。これは、健康診断で高血圧を指摘されていながらも受診されず未治療の方に対しての受診勧奨目安であり、高血圧治療の基準とは異なります。

簡単に言うと「受診せず放置するには重症化の恐れがあり危険な数値」とされます。ですから、「160mmHg以上であればすぐに治療をする必要がある」という治療への強い勧告ととらえる必要があります。

一方で、今までの140mmHgという基準は何だったのか?

こちらはどちらかというと、「140mmHg以上であれば医療機関に受診してください」といった治療への弱い勧告となります。

つまり、そもそもの勧告の程度が異なっていますので、「高血圧の基準が、140mmHgから160mmHgに緩和された」とは考えてはいけません。


高血圧は身近で自覚症状が少なく放置してしまいやすいですが、心臓や血管に不可逆的な変化が起こると無理がきかない疲れやすい心臓・血管になってしまうので、早い段階からのコントロールをお勧めします。

放置せずに、他の血圧をあげるような病気がないか・現状心臓や血管に変化が起こってきていないかをチェックするためにも循環器専門医の受診をおすすめします。

たった一つの心臓・血管をながく大切に使っていきたいですね!


なお、当院では8/12㈪~17㈯まで夏季休暇とさせていただきます。

暑い日がつづきますので、水分をしっかり摂ってお体にお気をつけください。

監修:柴山 謙太郎

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